わたしは40年の間、荒れ地であなたたちを導いたが、
あなたたちのまとう着物は古びず、足に履いた靴も
すり減らなかった。(「旧約聖書」申命記29:4)
京都生神女福音大聖堂のイコノスタス(聖障)、南門に画かれている大天使(神使長)ミハイル、北門の聖預言者モイセイ(モーセ)は、サンダル、くつをはいています。
救世主イイススの聖像(イコン)で、はだし(すあし)が画かれているのとは対照的です。
ミハイルは、足くびまで、くつヒモがていねいに巻かれており、まさに旅立ちの準備万端です。
モイセイとの対(つい)になっているのがミハイルだというのも、不思議です。主の顕栄(変容)の光景をみると、聖預言者イリヤ(エリヤ)が、南門に画かれているのが順当でしょう。
剣士の旅姿の天使(神使)というのも、興趣をわかせます。
天空を舞い、時空間を超越して飛翔する神の使者ですから、サンダルばきの旅装、剣を手にしたりりしい出で立ちは、いっそう目を引きます。
トビト書では、人生の旅の友に天使ラファエルが登場します。
わたしたちの人生をともにする守護天使、かれらは、わたしたちと道行きをともに歩くために、翼を使わないこともあるのです。
守護天使は、あえてわたしたちと同じ旅装で、人生を旅します。
苦楽をともにし、喜怒哀楽も享受します。
わたしたちのあるところに、守護天使がいます。
京都聖堂の聖なる天使ミハイルを見るたび、われとわが身を惜しまず献身する、勇気あるボディガード、SPを思い浮かべます。
「神はわれらと共にす」という祈りのことばと共に。
(長司祭 パウェル 及川 信)