■2023年3月 人間の体シリーズ 足 7 サンダル くつ(靴)

わたしは40年の間、荒れ地であなたたちを導いたが、
あなたたちのまとう着物は古びず、足に履いた靴も
すり減らなかった。(「旧約聖書」申命記29:4)

 京都生神女福音大聖堂のイコノスタス(聖障)、南門に画かれている大天使(神使長)ミハイル、北門の聖預言者モイセイ(モーセ)は、サンダル、くつをはいています。
 救世主イイススの聖像(イコン)で、はだし(すあし)が画かれているのとは対照的です。
 ミハイルは、足くびまで、くつヒモがていねいに巻かれており、まさに旅立ちの準備万端です。
 モイセイとの対(つい)になっているのがミハイルだというのも、不思議です。主の顕栄(変容)の光景をみると、聖預言者イリヤ(エリヤ)が、南門に画かれているのが順当でしょう。
 剣士の旅姿の天使(神使)というのも、興趣をわかせます。
 天空を舞い、時空間を超越して飛翔する神の使者ですから、サンダルばきの旅装、剣を手にしたりりしい出で立ちは、いっそう目を引きます。
 トビト書では、人生の旅の友に天使ラファエルが登場します。
 わたしたちの人生をともにする守護天使、かれらは、わたしたちと道行きをともに歩くために、翼を使わないこともあるのです。
 守護天使は、あえてわたしたちと同じ旅装で、人生を旅します。
 苦楽をともにし、喜怒哀楽も享受します。
 わたしたちのあるところに、守護天使がいます。
 京都聖堂の聖なる天使ミハイルを見るたび、われとわが身を惜しまず献身する、勇気あるボディガード、SPを思い浮かべます。
「神はわれらと共にす」という祈りのことばと共に。 

(長司祭 パウェル 及川 信)