■2022年12月 人間の体シリーズ 足 4 愛のしるし 足を洗う

このひとを見ないか。わたしがあなたの家に入ったとき、あ
なたは足を洗う水をくれなかったが、この人は涙でわたしの
足をぬらし、髪の毛でぬぐってくれた。あなたはわたしに接
吻もしなかったが、この人はわたしが入ってから、わたしの
足に接吻してやまなかった。あなたは頭にオリーブ油をぬっ
てくれなかったが、この人は足に香油をぬってくれた。この
人が多くの罪を赦されたことは、わたしに示してくれた愛の
大きさでわかる。赦されることの少ないものは、愛すること
も少ない。
(新約聖書「ルカ福音書」7:36~参照)

 旅塵(りょじん)にまみれたイイススの足にすがりつき、抱き、接吻し、涙と香油で足をぬぐった、ひとりの女性がいました。
 タオルではなく、じぶんの髪の毛をもって足をぬぐいます。
 悲しくて、つらくて、目をあげてイイススを仰ぐことができません。
 イイススは、神は、その女性をうけいれます。
 福音書は、罪深い女と表現しています。
 人の世の律法(法律)では、罪深いひとであったのでしょう。
 まわりの人にさげすまれ、うとまれていました。
 でも慕われた神からすると、愛さずにはいられない、かけがえのない人でした。
 罪の赦しと何でしょうか。
 神がわたしたちを裏切らないので、わたしたちは試練をうけとめることができます。
 神が信じてくださるので、わたしたちは希望をもてます。
 神が愛してくださっているので、わたしたちは平安になれます。
 ようやく顔をあげた女性の瞳をみて、イイススは言いました。
「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい」
生き直す、再生。
 復生(ふくせい)を信じましょう。    

(長司祭 パウェル 及川 信)