このひとを見ないか。わたしがあなたの家に入ったとき、あ
なたは足を洗う水をくれなかったが、この人は涙でわたしの
足をぬらし、髪の毛でぬぐってくれた。あなたはわたしに接
吻もしなかったが、この人はわたしが入ってから、わたしの
足に接吻してやまなかった。あなたは頭にオリーブ油をぬっ
てくれなかったが、この人は足に香油をぬってくれた。この
人が多くの罪を赦されたことは、わたしに示してくれた愛の
大きさでわかる。赦されることの少ないものは、愛すること
も少ない。
(新約聖書「ルカ福音書」7:36~参照)
旅塵(りょじん)にまみれたイイススの足にすがりつき、抱き、接吻し、涙と香油で足をぬぐった、ひとりの女性がいました。
タオルではなく、じぶんの髪の毛をもって足をぬぐいます。
悲しくて、つらくて、目をあげてイイススを仰ぐことができません。
イイススは、神は、その女性をうけいれます。
福音書は、罪深い女と表現しています。
人の世の律法(法律)では、罪深いひとであったのでしょう。
まわりの人にさげすまれ、うとまれていました。
でも慕われた神からすると、愛さずにはいられない、かけがえのない人でした。
罪の赦しと何でしょうか。
神がわたしたちを裏切らないので、わたしたちは試練をうけとめることができます。
神が信じてくださるので、わたしたちは希望をもてます。
神が愛してくださっているので、わたしたちは平安になれます。
ようやく顔をあげた女性の瞳をみて、イイススは言いました。
「あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい」
生き直す、再生。
復生(ふくせい)を信じましょう。
(長司祭 パウェル 及川 信)