■2021年10月 人間の体シリーズ 腿(もも)1

誓いの徴(しるし)

アウラアム(アブラハム)は多くの日を
重ねて老人になり、主は何事においても
アウラアムに祝福をお与えになった。
アウラアムは家の全財産を任せている年
寄りの僕(しもべ)に言った。
「手をわたしの腿の間に入れ、天の神、
地の神である主にかけて誓いなさい。
あなたはわたしの息子の嫁をわたしが今
住んでいるカナンの娘からとるのではなく、
わたしの一族のいる故郷へ行って、
嫁の息子イサクのために連れてくるように」
(旧約聖書「創世記」24:2〜9)

 高徳老齢の家宰(かさい)は、このあと「主人アウラアムの腿(もも)の間に手を入れ、このことを彼に誓った」のです。
腰が「生命の源」、「神秘の恵みと力の源泉」であるとすると、その腰を支える腿は、腰の土台、あるいは人の体幹を支える主軸であるといえます。
 家であれば、大黒柱、あるいは主イイススが語った家の基礎を構成する「隅の首石(かしらいし)」が相当するでしょう。
 旧約聖書の時代から、教会にとって、信仰者にとって、腿は重要です。
 腿は、重要な誓い、誓約を立てるときに使われます。
おそらく両腿の間に右手を差しいれるのでしょう。不思議な姿勢です。
 ひとりの時には、じぶんの腿に手を置き、神に誓いを立てることがあったのでしょう。
 預言者エレミヤのつぎの姿が「腿の誓い」を証明します。

「わたしは立ち帰ります。あなたはわたしの
神です。わたしは背きましたが、後悔し 
思い知らされ、腿を打って 悔いました」
(エレミヤ31:18-19)

 エレミヤがじぶんの腿を打ち、神への誓いを破ってしまったことを痛悔したところ、神が「新しい契約」を贈ってくださることが預言されます。

「来たるべき日、わたしがイスラエルの家と
結ぶ契約はこれである、と主は言われる。
すなわち、わたしの律法をかれらの胸の中に
授け、かれらの心の中に記す。わたしはかれ
らの神となり、かれらはわたしの民となる」
(エレミヤ31:33)

 腿の誓い、そして「腿の痛悔」が、神の祝福、新たなる契約をもたらすことがわかります。腿の誓いと腿の痛悔は、復活の希望、烽火(のろし)なのです。