天使ガヴリイル(ガブリエル)は、ナザレという
ガリラヤの町に神から遣わされた。ダヴィド家の
イオシフ(ヨセフ)という人のいいなずけである
おとめのところに遣わされたのである。
そのおとめの名はマリアといった。
天使は、彼女のところに来て言った。
「おめでとう、恵まれた方、
主があなたと共におられる」
(新約聖書「ルカ福音書」1:26〜)
正教会では信徒が神父様から「祝福」をうけます。
神父様は主教品から祝福をうけます。
日常のあいさつでの祝福にはじまり、受験合格と新入学、進学、進級、就職、旅行の前後、新築・転居などに伴うの家屋の成聖、新造船や工場などの成聖、婚約や結婚、出産など、いろいろな慶事も祝福されます。
「なんじに平安」と神父様が祝福すると、信徒は「なんじの神(しん)にも」と答えます。目のまえの空間に手によって十字が画かれ、うける側の信徒は、胸のまえに両手を十字に組み、その祝福をからだ全体でうけとめます。
会衆に対しては「衆人に平安」と祝福します。
これは古い祝福のあいさつ、「シャローム」、「あなたに平安がありますように」が原点です。
生神女福音、天使(神使)ガヴリイルによるマリアへの祝福は、じつはごくふつうのあいさつ、祝福だったのですが、マリアは神の真意をはかりかねます。
像名祝福、ぞうめいしゅくふく、ぞうみょうしゅくふく、あるいは、しょうみょうしゅくふく、とも言います。
指文字による祝福です。右手の、親指と薬指を「X」字形に、ひとさし指を「I」、中指を「C」に、小指を「C」に見たてます。
右手は「IC XC」すなわち「イイスス ハリストス」、イエス・キリストの名を象るわけです。
神の祝福は信徒個々人へも、よき音信・嘉音「おとずれ」として恵まれます。
右手の親指・ひとさし指・中指をひとまとめにし、薬指と小指をまるめます。
これを額(おでこの中央)、胸(みぞおちのあたり)、右肩、左肩へと十字形に画きます。
これも像名祝福です。
天使の祝福を正教会はこう記録します。
「恩寵(おんちょう)蒙(こうむ)れる者、慶べよ、主は、なんじとともにす」
わたしたちは神の祝福に満たされ、つねにこう祈りましょう。
互いを祝福し、神に讃美と感謝を祈りましょう。
「慶び楽しめよ、主は なんじとともにす」
「恵み深き主よ、神は われらとともにす」
(長司祭 パウェル 及川 信)